06H18決算 福祉・衛生費10.10 高齢者虐待対策について

2006年10月10日by 島村高彦

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平成18年 決算特別委員会、福祉・衛生費

高齢者虐待対策について

2006年10月10日

島村高彦委員

高齢者の虐待に関してちょっとお聞きしたいんですけども、17年度に関しては、184ページに認知症虐待専門対応事業経費ということで出ております。まず、この内容についてお話しいただければと。
高齢者の心の相談と専門ケア会議が12回ずつということなんですけど、内容についてご説明をいただければと思います。

 

山澤西部保健福祉センター所長

高齢者虐待についてのご質問でございますが、まず区といたしましては、この件、大変重たく受け止めてございます。虐待の施策といたしまして、まず専門の弁護士を迎えて専門ケア会議というものを実施してございます。この場合には、精神科医の方も一緒に伺いまして、各包括支援センターの方から事例等、また現在悩んでいるケース等を挙げていただきまして検討を行い、対応をしていくという形でございます。 また、心の相談につきましては、心理の先生等に相談をお受けいたしまして、その中で認知症、また虐待に結びつく今後の対応についての検討をしているというような事業でございます。

 

島村高彦委員

そうしますと、この高齢者心の相談というのは、区民の中から、自ら問題があって相談に来たということではないわけですね。

 

山澤西部保健福祉センター所長

失礼いたしました。
心の相談につきましては、個別に区民の方からの相談をお受けしている事業でございます。ただ、専門ケア会議につきましては、これは地域包括支援センター等で相談を受けました職員が、そこに持ち込みまして、弁護士と精神科医等の相談を受けながら今後の対応を考えていくというような、別々の事業でございます。

 

島村高彦委員

この高齢者の虐待というのは、児童の虐待以上に非常に発見が難しいのではないかというようなことを聞いたことがございます。全国調査のデータでは、虐待されている人の約30%が、自分が虐待を受けているということに気がついてないと。虐待している人の半数以上の人が、自分が虐待をしているということがわかってないというような調査結果が出ているということでございまして、非常にこの発見の仕方というのも難しいとは思うんですけども、17年度において、区の方にこういった虐待の通報であるとか、そういったものは何件ぐらいあったのか、もしわかれば内容も含めて教えてください。

 

山澤西部保健福祉センター所長

申しわけございません。今、手元にあるのが18年度8月末の件数でございますが、全部で20件ございました。ただ、高齢者虐待の場合には、多くの場合、いろんな要素を含んでいるケースが多うございます。豊島区の特徴といたしましては、20件中17件に身体的虐待を含んでございます。また10件が経済的虐待、また7件につきまして心理的虐待、それに介護放棄等の虐待が続いておる形でございます。

 

島村高彦委員

全国的には件数が増えているということで、この4月に高齢者虐待防止法というのも施行されるようになりまして、それぞれ各自治体がいろんな対策をとり始めたということでございます。ちょっと、最近の新聞では、葛飾区では区の施設内に保護のシェルターを設けたり、あるいは埼玉県では高齢者虐待対応専門員などというものを設けて対策に当たっているということなんですけども、豊島区としても、今後、どういう推移で移るかわかりませんけれども、もし現段階で対策を練っているようなことがありましたら、教えていただければと思います。

 

山澤西部保健福祉センター所長

豊島区におきましては、高齢者の虐待の避難先といたしましては、既にショートステイという形で確保してございます。ただ、この点につきましては、委員ご指摘のとおり、4月に高齢者虐待防止法ができたということ、また、法の整備がだんだんと必要になってきているという事情にかんがみまして、今後、葛飾区でつくりましたシェルターのようなものを検討するかどうかと。必ずしもシェルターを公表することがいいのかどうなのかということも含めまして、法に部屋を確保しなきゃいけないことは決まっておりますので、それについてはショートステイで確保してございますけども、今まで以上に高齢者の虐待に対応する性格のものを部内で検討をしているところでございます。
また、一方、高齢者虐待につきましては、先程委員のご指摘にもございましたけども、なかなかそれを察知することが難しいということがございます。そういう意味では、区内の警察や社会福祉会等、弁護士会等を含めまして、今、区内全域にわたる連絡会をネットワークとして確保しようとしているようなところでございます。

 

島村高彦委員

それでは、対策の1つとして通報のシステムですね、これをどういうふうにつくり上げるかということが大切だと思うんですけれども、いわゆるこれはどこで通報を受けるのか、その辺が、連絡先がはっきりしているということと、その通報を受けた際の具体的な対処方法ができ上がっているという、この2点がしっかりしてないとなかなか対応が難しいと思うんですね。その辺の通報のシステム状態と対処法でお話しいただければと思います。

 

山澤西部保健福祉センター所長

先程来お話が出ておりますけども、高齢者虐待の受付窓口は、この4月よりできました8カ所の地域包括支援センターがまず第一の受付窓口となります。その地域包括支援センターを核といたしまして、今、各地域包括支援センターでネットワークを組んでいるところでございます。通報を受けました地域包括支援センターは、まず、その実情の把握に努めます。かねてからその方と関係を持っているかと思われる関係者や関係団体から意見を聴取いたします。その上で、できるだけ速やかに現地調査を行うような形を行います。そういたしますと、地域包括支援センターでは、それにつきまして内部会議、ケア会議と呼んでおりますけども、内部会議を開きまして、精神の状況や身体の状況、介護度等を含めまして、今後の対応を考えるわけでございます。多くの場合は、虐待している側が介護に疲れているというようなケースも見受けられることから、例えばホームヘルプのようなものを導入するとか、何らかの福祉制度をその家庭の中に導入することにより介護を軽減いたしまして、未然に虐待を防ぐというようなことがまず基本的に考えられる施策でございます。

 

島村高彦委員

はい、わかりました。
それに関しては、地域包括支援センター自体の存在が、まだ区民の間ではあまり十分ではないのかなというふうに感じている部分もあるので、その辺をはっきりとアピールしていくことが大切だなというふうには思います。
それと、この対策の1つとして、東京都なんかでは成年後見制度を活用して虐待の対策に当たろうということがあるんですけれども、なかなかこれ、家族の同意が必要でもって、家族との折衝に手間取って非常に難しいという話があるんですけれども、この成年後見制度の活用に関しては、区としてはどのような対策があるかお願いします。

 

山澤西部保健福祉センター所長

ご指摘のとおり、成年後見制度、なかなか制度として定着していない現状がございます。そういった意味では、今年度、東京都の施策の中で、成年後見制度の推進のサポーターというものを育成してございます。区の方にも5名紹介をされておりまして、その活用を今検討しているところでございます。1つは、先程ご案内申し上げましたけども、虐待の専門ケア会議とか、それから様々な事業がございますけども、そういうところに参加をしていく中で、そういう方の育成を図りまして、1つ1つその成年後見制度の活用に結びつけていきたいと。そんなふうに考えてございます。

 

島村高彦委員

児童の虐待と併せて、この高齢者の虐待も、やはりより多くの区民に認識されていくことが大切だなと。それに合わせてどういった対処法があるかということも、アピールをしっかりしていっていただきたいというふうに思います。

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