04H16決算 最終日10.25 公明党意見開陳

2004年10月25日by 島村高彦

s-00357  s-00175

平成16年 決算特別委員会、公明党意見開陳

 

2004年10月25日

島村高彦委員

初めに、台風23号に続き、新潟県の中越市を中心に震度6を超える地震に見舞われた皆様に心からお見舞い申し上げます。また、本区と相互防災協定を締結している堀之内町に対し、迅速に救援物資やトラック、人員の派遣を行ったとのことで、私ども公明党もできる限りの支援をしてまいります。
それでは、公明党区議団を代表いたしまして、平成15年度一般会計予算並びに4特別会計決算を認定することに賛成する立場から意見開陳をいたします。
最初に一言御礼を申し上げます。今回の決算審議に当たり、理事者の皆様には資料要求や事前調査に快く応じていただくとともに、私どもの質問に対してその意を汲んでくださり、丁寧にご答弁いただきました。お蔭様で決算内容及びその経過を十分理解できたことに心から御礼申し上げます。ありがとうございました。
私ども公明党は15年度決算の審査に当たり、行革2004を前にしてのこの決算審査の持つ意味を初めに区長に確認しながら、1.区民の目線に立った行政運営がなされているか。2.時代の変化に的確に対応した行政運営が展開されたか。3.我が党の予算要望に応えられたか。4.豊島区の将来展望がなされているかなどを主眼に慎重かつ厳正に審査に臨みました。
平成15年度は依然として景気の先行きの不透明感が強いため、特別区税の伸びは期待できず、歳入のもう一つの柱となっている特別区交付金は基準財政需要額の減少や固定資産税の評価替え等の要因により大幅な減少が見込まれるなど、14年度に引き続き厳しい状況下での予算執行でありました。こうして迎えた15年度一般会計決算額は、歳入が870億7千万円。歳出が860億6千600万円となり、前年度対比で歳入歳出ともマイナス4.9%と引き続きのマイナスとなると同時に、平成になって最も少ない額となりました。歳入については、対前年度約45億円減少しており、一般財源では、特別区交付金が当初見込んだ減少額17億円ほどは落ち込まなかったものの、結果として、対前年比で10億2千700万円減少し、特定財源においては全体として経費抑制の効果が現れております。中でも義務的経費のうち人件費は前年度比3.2%、8億8千700万円減少し、職員給与のマイナス改定や定員の見直しによる努力の成果が伺えるものとなりました。総じて15年度決算が示す数値は財政健全化計画による経費抑制効果が反映されておりますが、財政構造の弾力性を示す経常収支比率は前年よりは下回ったものの87.2%と高い数値であり、引き続き財政硬直化が懸念され、また、単年度収支は黒字に転換したものの、実質単年度収支が前年と合わせ31億5千万円もの赤字となってしまったことは区財政が抜き差しならない状況にあることを示しております。
また、監査員の意見書に指摘されておりますように、15年度予算が議会で議決された後、20日もしないうちに10%の配当保留を実施されたことに対し、議会認定の重みを資するとともに、基金の取崩し・運用方法には十分配慮が必要であることを指摘させていただきました。このかつてない難局に直面し、区長は本定例会招集挨拶の行財政改革プランの章で、私が先頭に立ち、全庁挙げて一つ一つ改革の必要性を説明し、区民の皆様のご理解を得てまいりたいと述べられております。まさに区長を先頭に全職員の皆様が一丸となってこの難局を乗り越えていかれることを願うものです。
区長はこの年、「未来、信頼、ふれあい」を新たなキーワードとする開かれた区政を進めるため、信頼度、透明度一番の区政実現を掲げ、まず、自ら区長交際費を相手先の氏名も含め全面公開としました。これに続いて議長も公開をしたことは信頼度の一歩前進と受けとめております。
また、新基本計画の策定はPDCAサイクル、すなわち政策立案、事務事業実施、行政評価、施策・事務事業の見直しという透明度の高い行政システムに転換するため、15年度は事務事業評価を実施し、それをもとに事務事業を見直し、予算編成を反映させるとして、そのとおり実施いたしました。その結果、出されたものがこのたびの行革2004であると思いますが、私たちはこれを大変厳しく受けとめました。
以下、特筆すべきことを順不同に述べさせていただきます。まず、総務費では職員に対する効果的、効率的な研修の推進をお願いするものです。特に、今後は区民と接する職員の姿勢が区政に対する理解と協力を促す鍵になると思われます。また、我が党が2年連続質問させていただいた法律相談、区民相談についてはより内容の充実を要望いたします。15年度においても総計で1万人を超える人が相談に訪れており、今後も多くの需要が見込まれる事業であると考えます。特に相談員の人選は厳重に行い、区民との対応の仕方にも問題がないか、実態をよく把握しながら随時改善されるよう要望いたします。さらに委員会の中で各会派より職員の給与削減についても発言がありましたが、議会におきましては、平成11年より報酬減額を実施しており、これまでの総額を計算いたしますと一人当たり102万5千円で、全員の総額にしますと4千103万円となります。
この度の行革プランを見ましても、区民の皆様にご理解、ご協力をいただくには、区役所に働く者がまず自ら痛みを分かち合おうとする姿勢を見せることから始めなければ簡単には納得していただける内容ではないと考えております。
福祉・衛生費については、今後ますます経費負担が予想され、国保、老人保健、介護保険の特別会計への繰出金の増加も歳出構造の硬直化を招く要因となります。よって、同分野については15年度に行われた事業も含め抜本的な見直しが必要と考えられますが、介護予防、健康増進策は年齢制限を設けず、区民全体の自主的な取組みとして定着化させるため、より広範囲に渡る呼びかけを実施するようお願いいたします。大幅な事業の廃止・中止・見直しの素案が発表され、社会を見据えた選択ということですが、一般家庭に置きかえてみても同じことがいえると思いますが、家計が厳しくなったからといっていきなり子供のミルクを減らそうということは出来ないということを申し上げます。道路工事が多少遅れたとしても財政難だから仕方がないと認められることはあっても、保健福祉の分野は即明日の生活に関わってくる問題であることを申し上げました。景気の回復といってもまだまだ庶民的には厳しいものがあるのです。
次に、経済生活・清掃環境・都市整備・土木費でありますが、産業振興計画は相談業務のより一層の充実化を図り、従来の枠にとらわれない区内産業の活性化策を創出していただきたい。区内事業者の活性化は、結果的に税収の増加という形で区に還元されてまいります。そのための一環として、本委員会の質問でも最低資本金特例制度を例に挙げましたが、他にも事業者、起業者にとって有効な制度や施策は相談事業や交流会等を通じて機を逃さず情報提供を行うよう要望いたします。
清掃環境・都市整備・土木に関しては、相互に連携を図りながら区民及び来外者の活力を引き出すような街づくりを行うことを各個別事業に対する取り組みの根底に置いていただくことを要望いたします。放置自転車対策推進税における鉄道事業者との話し合いにおいても税負担という角度からのみではなく、総合的な街づくりという観点から協力が得られるような議論を展開できれば、本区にとってより価値的であると考えるものです。
また、この二つの法定外税であるワンルームマンション税と放置自転車対策税は、同じ悩みを抱える全国の自治体が注目する中で全国的に有名になりましたが、見事に二つの新税が総務省で認められたことは特筆すべきことであります。これは委員会を傍聴したある区民の声ですが、自転車税の協議会で税務課長が区の置かれた状況を切々と訴えるその姿に感動した、胸が打たれたと言っておりましたが、このような印象を与える優秀な理事者や職員の皆様の言動は注目に値するものであります。この新税導入はまさに地域から国を変える動きであり、他自治体に取りましても今後の動向が期待されるものでありますので頑張っていただきたいと思います。
次に、行政と区民とのパートナーシップ会議を受けて地域区民ひろばを提唱されましたが、それについて申し上げます。これは日ごろから財政の厳しさを言われている中でのスタートでしたので、区民の認識はもちろんのこと、議員でさえその第一の目的は行政改革のためとの捉え方をしておりました。改めてその目的を確認し、このひろば構想は行政と区民との協働で地域コミュニティを創造することにより、地域主権型社会の構築を目指すものであり、これについてはどこの自治体においても遅かれ早かれいずれかの方法で取り組むべき重要課題であることから、私ども公明党も積極的に推進すべきであることを申し上げました。
この区民ひろばについて、地域ごとにひろばの割振りを考えれば都市計画と同じで時間がかかることから、これは長いスパンで考えなければならないことでもあり、そう簡単にはいかないのは当然ではないでしょうか。また、全児童クラブはそもそも文部科学省の子供の居場所づくりから始まったものですが、区民ひろば構想の中でせっかくのすばらしい施策が大きな誤解を受けるに至ったことを大変残念に思いました。いずれにしても、教育の平等性の観点からすればできるだけ早く全学校に置いて実施されるべきものと思いますので、教育委員会と子ども家庭部が一丸となって取り組んでいただきたいことをお願いしておきます。また、全児童クラブも区民ひろばも区民にとっては今まで全く経験のない新しいことを始めるわけですので、どの世界でも草創期というのは大変な労苦が伴うものだと認識しております。区民の理解を得るためにはモデルケースでいろいろと検証しながら、粘り強く積極的に取り組んでいただきたいと考えます。また、区長の打ち出した提案を推進しているにも関わらず、区民ひろば構想の説明会に見られるように、一部職員の方々が先頭に立ってこの構想に反対する姿を見る中で、民間の会社であれば社長に対し反逆する勢力として、それは「獅子身中の虫」に値するもので内部から崩されるものとなるものであります。今回の行革プランについても、まず職員の皆様が先頭に立ってこれを推進していかれるためにどのようにされるのかも確認をさせていただきました。
次に、文化特区構想についてですが、西部区民事務所ではロケーションボックスとして年間1千万円以上の歳入を上げておりますが、同時に地域にもこのロケーション場所が広がり、豊島区の街や商店街が自然にPRされる状況をつくり出しております。また、今年、区民事務所で行った夏まつりには3千名の人が集まりにぎわったということでありますが、全て地域の方々が持てる才能・力を出し合い、つくり上げ、お金をかけず知恵を出し合って大成功を収めたと伺っております。現在、本区は行政改革の真っ最中であり、そのような状況下においては文化は二の次と考える方も多いかと思いますが、かつて赤字団体に陥った福岡県赤池町でも文化事業を大事にして町おこしをしたと伺っております。文化政策こそが町に大きな活力を生み出す源泉となり得るという例は世界各所で聞かれることでありますので、どうか財政難に負けないで文化行政に力を入れていただきたいと思います。
次に、21世紀の新たな都市づくりを目指した池袋副都心再生プランの中のユニバーサルデザインの街としまについてであります。LRT路面電車の構想もそれ自体は大変すばらしいもので、電波塔とトータルに考えるのであれば生きてくるものと考えますが、これからは民間で出来ることは民間に、の考え方でいく整理をしているところであります。区民にとって必要不可欠なものであればどんなに財政難であってもやるべきことはありますが、その観点において区民に説明のできる判断をお願いするものであります。
次に、教育費では、文部科学省の学習指導要領においても児童・生徒の人間性、社会性、そして自主性の育成に重点を置いているとみることができます。同省の施策も総合的な学習の時間を利用した体験学習等の推進策がその中核を占めております。今、各自治体で様々な取り組みを行っておりますが、本区においてもさらに子供の将来に焦点を当て、弾力的な教育課程を取り入れるよう強く要望いたします。よりよい社会とはよりよい教育によってもたらされるものです。
続いて、特別会計ですが、国民保険事業会計については、やはり収入未済額が多く保険料の滞納が気にかかるところです。不況の長期化がもたらす影響も強いと思われますが、未納者の生活実態を把握した上で保険制度が相互扶助の精神から成り立っていることを十分にご理解いただけるように説得するほかないと考えます。骨の折れる労作業となりますが、更なるご努力をお願い申し上げるものです。
老人保健医療会計及び介護保険事業会計については、高齢化社会における保険給付費の現状の増加率について、これも十分に区民に理解を求めなければ制度の存続自体が危ぶまれてまいります。しかしながら、反面で少額所得者、特に年金受給のみの高齢者に対する介護保険料については生活の維持という観点から検討を要すると思われます。明年の介護保険制度の見直しを受けて、本区としての対応を考慮されるよう要望いたします。いずれにせよ、同事業については福祉費でも述べたように、より多くの区民が自ら生涯に渡って心身ともに健康であろうとする意思をどこまで持続できるかが大きな課題となります。徹底した健康増進、介護予防の取り組みをお願い申し上げます。
以上、各款別ごとの意見を述べさせていただきましたが、いずれにしても今後、三位一体改革・都区制度改革などが区財政にどのように作用するか予断を許さない状況であります。豊島区の将来を展望するならば多くの課題にどう対応し、どう優先順位をつけていくかが重要となってまいります。今後、区民の様々な需要に的確に対応するためには身の丈にあった財政規模を確立し、持続可能な体制を構築しなければならないということは区長のおっしゃるとおり確かなことです。行財政改革プラン2004に示された素案については再度検討を要するものもあるかと思われますが、私ども議員も豊島区の未来を見据えた活動を展開していく覚悟でございます。厳しい状況ではありますが、いかに長くとも出口のないトンネルはなく、いかに寒くとも春の来ない冬もございません。高野区長を始め職員の皆様にはさらなる堅忍不抜の前進をご期待申し上げます。
以上をもちまして、公明党の意見開陳とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

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