平成26年決算委員会 島村10月 7日 議会・総務費
災害時要援護者避難・安否確認推進事業について
○島村高彦委員 よろしくお願いをいたします。私からは、防災対策のうち、災害時要援護者避難・安否確認推進事業についてお尋ねをいたします。決算参考書207ページ、成果報告書157ページでございます。
この間、ずっとこの災害時要援護者対策についてはお尋ねをしてまいりました。いろいろ調べたところ、最初に質問したのが2005年、平成17年ですね。9年前でございます。そこからずっと、何度も何度もこの問題についてはお尋ねをしてまいった次第でございます。それで、この間、主に私が言ってきたのは、地域における災害要援護者の情報の共有、それから、地域における災害要援護者を具体的に避難、救出するための計画と訓練、この2つを必ずセットにしてお尋ねをしてまいりました。それで、今までの流れも確認しながら、現在、ようやく地域の情報共有ということは可能になったわけでございますので、これからの流れに資する質問をしていきたいと思います。
最初に、私が地域の情報共有ということで言ってきたのは、名簿を配れということではなくて、地域からの求めがあれば、いつでも情報提供できる体制を整備しておいたほうがいいのではないかということをずっとお尋ねをしてまいりました。最初の質問で、やはり個人情報保護法による問題点が非常に大きな壁になっていたわけでございます。この個人情報保護法が必要な情報まで必要な人に届かないという実態を、これは変えていかないといけないのではないかということを言ってきたわけです。区の答弁としては、個人情報保護条例の改正も視野に入れて取り組んでいきますよとおっしゃっていたわけでございます。実際には、条例を変えなくても、個人情報保護審議会の承諾さえ得られればいいんですよということになったわけでございます。
そこで、私が最初に質問した翌年に、保健福祉部の持つ災害要援護者の情報を防災課でも共有するようにしたということがあったわけです。私も知らないで質問していたんですけれども、防災課がそれまで災害要援護者の情報を持っていなかったということは知らなかったわけです。それで、さらに驚いたのは、このいわゆる内部情報共有方式というのがマスコミで取り上げられまして、全国的にも非常に珍しい取り組みだという報道がなされました。私、家には日経新聞のそのときの記事を持っておりますが、非常に私自身が驚いたわけでございます。お尋ねしたところ、いやいや、個人情報保護法があるので、保健福祉部の情報は渡せないんですよということだったんですが、結果として防災課でも保有できるようになったのがこのときの経緯ですね。これについては、皆さんは本当にその辺の知識があるので、そんなの当たり前で、防災課で共有するということもなかなか難しい中、ついにやったぞみたいなところがあったと思うんですけれども、その当時のその辺の流れはどういったものであったのか御説明いただきたいと思います。
○上野防災情報担当課長 ただいま島村委員の御指摘のとおり、豊島区としましては、平成18年、平成19年当時から、災害時要援護者の対策、手上げ名簿という方式で取り組んでまいったわけでございますけれども、その内部の情報の共有という部分につきましては、今の御指摘のとおり、個人情報の保護の扱いがございまして、大変慎重に扱わなければいけないという中で、個人情報保護審議会に諮って、一つ一つ課題といいますか、そういったものに対してクリアをして、その内部共有名簿という方式を庁内的に整理し、保健福祉部と防災セクションとその情報を共有するという仕組みをつくったわけでございます。
ただし、これにつきましては、あくまで災害が起きた場合の備えでございますので、そういった意味では、名前のとおり、内部で共有を図るという性格の名簿を整備していた状況でございます。
○島村高彦委員 今お話しいただいたように、非常に法を遵守しながら、適切な形でこの内部情報共有方式に至ったということでございますが、区民から見れば、防災課が情報を持っていないんだよという話をしたときに、みんな一斉に驚くわけです。法律がそうなっているからといって、現場の状態からやはり大きくかけ離れた実態というのがあって、私が防災課でも情報を持ったんだぞ、すごいだろうと区民に言ったら、「えっ」と言われてしまったわけです。だから、そういう状態の中で、実態に即していないということを今まで指摘してきたわけでございます。
そんな中で、平成19年にようやく手上げ名簿の募集が開始をされました。この手上げ名簿ですけれども、実際はなかなか進んでいかなかったという実態がございます。開始をした翌年、平成20年で5%弱、それから平成22年、5%強ですね。それから平成24年で7%弱ということで、非常に進みぐあいが遅い中で、ここで終わっているかと思うんです。
私は常々、国民生活審議会、あるいは東京都の個人情報の担当の部署から、人の生命、身体、財産の保護に必要がある場合や明らかにその人の利益につながる場合は、本人の同意を得なくても、個人情報の目的外利用と第三者提供ができると指摘をしていますよと。これはどうなんですかということもずっと言ってきたわけですが、そう言っていると言っても、それをなかなか受け付けてもらえなかったということもございます。それで、そういう手上げの同意方式じゃなくて、不同意方式、非同意方式を使ったらどうなんだということもお話ししたんですけれども、個別にそういうことも言ったときに、当時の防災課長が、そんな乱暴なことはできませんということをおっしゃいました。
そうしたら、そのすぐ後に、防災会議で、豊島か池袋の消防署長がやはり私と同じことを言ったんですね。同意しない人だけを外して、あとはみんなやったらどうなんですかと。やはり区民がそういうのを聞いていると、消防署長までがそう言っているのに、どうしてやらないのだろうという疑問はずっとあったわけです。当然、皆さんはしっかりと法令遵守の立場のもとで事を進めているので、そういうことはなかなかできないというのはよくわかりますが、実際の災害時に、何度も言いますけれども、要援護者の情報をもとに活動して問題になるということは、まずないわけなんですよ。
だから、問題は、これが平常時に悪用されるということが唯一の点、非常に懸念されることというのはよくわかるのですが、そうした中で、ほかの自治体でこれを条例化することによって非同意方式で活用できる例があったものですから、私のほうで条例化をしてやったらどうだということで、ようやく非同意方式の災害要援護者名簿が地域に提供できる体制になったわけでございます。実にこの間、もう8年ぐらいかかって、ようやくそういう状態になったわけです。だから、この辺については非常に難しい問題であったかと思うんですけれども、これだけの年月をかけてようやくそこに至ったという経緯ですね。その辺の皆さんの取り組みの経緯の内容を一言簡単にお伝えいただければと思います。
○上野防災情報担当課長 災害時要援護者の取り組みは、さかのぼりますと制度的には、平成16年に大きな水害がございまして、それをきっかけに内閣府でその要援護者のガイドラインを示したということから、全国的に取り組みが始まったと認識しているところでございます。そういった中で豊島区としても取り組みを進めてきたということでございますが、ただいまの島村委員の御指摘のとおり、なかなか、これは豊島区も含めてそうなのですが、個人情報保護のやはり過剰反応とよく言葉を国では使っておりますが、そういった中で、個人情報の取り扱いを慎重にしてきたということが優先してきて、なかなか目に見える形での取り組みが進まなかったということでございます。
そういった中で、今回、東日本大震災等も起きまして、改めてこの災害時要援護者の取り組みの重要性にクローズアップされたことを踏まえて、豊島区の防災対策の強化という中の1つの重要な柱として、豊島区としてもこの条例の中に1つ規定を設け、それによりまして、いわゆる不同意の方を除いた名簿を作成できる根拠規定を設け、それに基づき取り組みを進めてきたところでございます。