令和2年第2回 定例会一般質問
「新たな絆を創出するまち豊島」
2020.R2.6.23 公明党 島村高彦
私は公明党豊島区議団を代表し「新たな絆を創出するまち豊島」と題し、第1に総合的な危機管理対策、第2に防災対策、第3に産業振興対策、第4に雇用対策と働き方支援、第5にひきこもり対策、第6に認可外保育政策、第7にSDGsの推進について一般質問を行います。
まず、世界中を大混乱に陥れた新型コロナウイルス感染症による多大な被害に対し、心よりお見舞いを申し上げ、一日も早い収束と生活の復興を強く祈念申し上げます。そして、この間、今もなお厳しい環境の中、対策に尽力くださっている医療従事者や本区においても保健所職員をはじめ、給付金の対応等、多くの相談支援に対応されている皆様のご労苦に深く感謝を申し上げます。
それでは第1の総合的な危機管理対策です。感染症パンデミックも災害の一つであり、今後もあらゆる事態を想定した総合的な危機管理体制を構築しておかねばなりません。今回、本区は新型インフルエンザ等対策行動計画に基づき「危機管理対策本部会議」また私も副議長として参加させていただいた「対策本部」を設置し、区長を本部長として全ての部と連携して対策にあたりました。これを通して従前の対策行動計画の見直し等、今後の対策として得られた教訓があればお聞かせください。
次に報道等で指摘があるように感染症拡大の最中での大地震発生など、複合的な災害発生時の対策、たとえば救援センターの開設、運営をはじめ、避難のあり方をどうするのか等、今後の対応策についてお聞かせください。
次に今回、打ち出された国や都の様々な対策が、住民へ速やかな支援を行うべき各自治体と十分な連携が図られていない問題です。国の問題でもありますが、支援を打ち出す前に現場の基礎的自治体の状況をすみやに国や都の執行機関に伝えることができる体制を構築しておく必要性があると考えます。本区だけで取りうる対策ではありませんが、お考えをお聞かせください。
次にすでに、第1回臨時会の招集挨拶で今後の財政運営について事業の延期、休止の可能性にも言及され、本定例会でも方針が示されました。大幅な歳入減が見込まれる中、きわめて難しい運営が求められますが、そうした中でも特に留意すべきは、1点目にダメージを受けた区民への影響を十分に考慮した事業の見直しであること。2点目に各施設の改修、再構築の延期等については区民生活への影響も分析し、十分な周知と理解を得ること。3点目に区長もご懸念されている地域のコミュニティが失われないよう、新たな対策を講じること。以上3点を考慮した運営方針となっているか、十分に踏まえられていると思いますが、改めて、お聞かせ願います。
次にコロナ禍で多くの区が困窮している区民のために様々な独自支援に取り組みました。そこで、本区がこれまで行った独自支援策について、実施に至った理由も含めお聞かせください。また他区の支援策が報道され「豊島区にはないのか」との声が我々には届きますが、今後さらに支援が必要な区民も増える中、さらなる本区独自の支援策があれば、お聞かせください。
次に様々な区民対応についてお尋ねします。勤務や登校の自粛等で在宅が増えたことにより児童虐待やDVの問題はどうであったのか。訪問自粛も求められる中で、高齢者の見守りに課題はなかったか。連休中の対応については特にお願いをしてありましたが、本区が生活保護の申請を拒絶したとの報道もありました。対応される職員のご苦労も十分承知しておりますが、対応の仕方次第で大きな危機につながることもあります。この間の対応で課題があれば、お聞かせ願います。
最後に次の防災対策でもふれますが、区民への情報伝達についてお尋ねです。これまで多くはホームページと広報で周知というのが中心でしたが、もはやこれだけでは周知の機能が果たされないというのが実感です。また、これまで防災行政無線もほぼ毎日同じ内容を流しておりましたが、これまでにない災厄が起きている中、発信当初は「昨日とは違う何か大切なことを言っているのではないか」と耳をそばだてて聞こうとした区民も多かったようです。しかし、過去のデジタル化の質問の答弁とは異なり、未だ聞きづらい状態です。そこで他
区では青パトなどの車両で区内を隈なく回り、発信しているとの報道もありました。本区も防災車両を回したとのことですが、実際どこをどの程度回ったのか。反応はどうであったのかお聞かせください。さらに安全・安心メールも感染予防と給付金に伴う詐欺被害への注意喚起を繰り返しております。この間、どこに相談したらいいのかという問い合わせも多い中、区民にとって有用な情報である様々な相談先をリアルタイムかつ繰り返し流さなかった理由を教えてください。この後、具体的な対策も提案いたしますが、情報弱者も多い一般区民への情報伝達について改めて取り組むべきと考えます。お考えをお聞かせください。
第2に防災対策です。今回は昨年10月の台風19号の課題と対策に関連してお尋ねします。まず救援センター開設について、長い間、災害時には町会単位で一時集合場所から救援センターに移動するということが防災訓練等でも周知されており、多くの町会員もそのように認識してきました。地域防災計画にも「救援センターは、区立全小中学校等とする」とあります。しかし、同計画の風水害対策編ではその開設について別の定めがあります。このことが町会長をはじめ多くの区民には知られていなかったことをご存知だったでしょうか。かなり以前から本区も浸水被害に悩まされてきた中で震災時と風水害時には避難所の開設のしかたに違いがあるということをなぜ、周知してこなかったのかお聞かせください。防災会議でもお尋ねしましたが、明確なお答えを頂けなかったので改めてお聞きします。
次にこれは課題にも上がっておりませんが、センター開設後、なぜ近くの学校を開けないのかという問い合わせが数多くある中、隣接区住民からは他区の学校開設の要望もありました。毎回お尋ねの隣接区連携対策です。隣接区住民同士の合同訓練は難しいとのことですが、次なる災害に備え、せめて行政間同士の避難連携体制は整備しておくべきと考えますが、いかかでしょうか。
次に同じく毎回お尋ねの夜間、休日の救援センター開設の課題です。今回は計画的に開設され、昼間でもあり、職員が対応できました。これが休日夜間に突然発生した震災などの場合、職員が駆け付けられず、住民が困ることはないのか。また最近、小中学校の門扉は安全のためオートロック化されましたが、緊急時、センター担当職員との連携は十分であるのか、さらに平成28年には38名いた災害対策要員は現在32名、首都直下地震発生が懸念される中、増員しておくべきですが、逆に減少しております。加えて各校数名いるセンター配備職員はすぐに参集できる所に居住しているのか。
そして、そもそも救援センターの運営にあたる職員の対応力は十分であるのか。そのための日ごろの訓練は行われているのか。地域の人に開設を委ねるのは荷が重くて無理だとのことですが、これで本当に緊急時に区民の安全を守ることができるのか、これら全てについて、お答えください。
次に15年間にわたり訴え続けた要援護者対策が今さらのように課題となっておりました。すでに多くの町会や団体から支援するよう声が上がっておりますが、町会に配布された要援護者名簿もただ配布されただけとなっております。具体的な支援方法はこれまで何度も取り上げてきました。しかしながら避難支援プラン個別計画策定済み町会は長い間、19町会のままです。残りの町会に対する支援はどのように行うのかお答えください。
次に警戒レベルの伝達において避難者の多くに警戒レベル3が避難指示と誤解を与えたとの課題です。私としてはそうならないように台風前の平成30年第4回定例会で「本区については避難に際し、具体的でわかりやすい言葉で呼びかけるよう」提案いたしました。答弁も「区民の皆さまが危機を認識し、適切な避難行動が取れることを念頭に、その表現について内容を検討してまいります」とのことでしたが、それ以降、台風発生までの間、検討されなかったのでしょうか。今後の対策と合わせてお聞かせください。
次に本区の情報の周知・伝達に多くの課題があることを指摘してきました。そこで再度改善に向け2点提案いたします。ひとつは昨年、わが会派の中島前議員も取り上げた防災ラジオです。住民への情報伝達が必要な際、相手が何もしなくとも、自治体側からの操作でラジオを自動起動させ情報伝達が可能です。ケーブルテレビ等と連携し利用可能となりますが、答弁では開設に向け課題があることから協議にも至っていないとのことでした。また、都内で開設している現状を確認し、解決策を検討するとのことですが、検討結果をお聞かせください。中央区では1月末で1万7,980台が配置済みで、さらなる活用を促進しており、総務省は未導入の自治体に対する財政支援のため、19年度補正予算で4億2千万円、今年度補正予算で7億8千万円を計上しております。開局の初期投資として相当の支援も必要ですが、それ以降は風雨時等、行政無線の音声が聞きづらいときやスマホを持たない高齢者等に迅速・確実・明快な情報伝達が実現します。すみやかな実施が望まれますが、お考えをお聞かせください。もうひとつは、現在、町会役員等に配布している個別受信機です。現状では有用な活用がなされているとは言えない状況ですが、活用方法を改善し、高齢者等自ら情報取得が困難な世帯に配布することが有効ですが、ご見解をお聞かせください。いずれにせよ、現状からの改善が必要と考えますが、今後の取組み方針をお示しください。
最後に駒込小学校が協力体制のモデルケースであったとのことですが、そうなった要因について分析されているのでしょうか。本来、台風発生時には分団本部に控え、周辺警戒に務めるべき消防団員のひとりが、たまたま同校のPTA会長経験者であったことから、分団長の許可を得て特別に小学校での避難者対応にあたりました。その際、PTA関係の団員も同行し彼らの知り合いである地域の人たちや他のPTAメンバーも協力し合ったというのが実状です。これまで消防団と町会や学校等、関係機関との連携を推進するよう訴え続けてまいりましたが、今回、本来は消防団として救援センター運営の支援を行うようにはなっていなかったのであります。このことをどう認識されているのか、お聞かせください。そして、これを受けて、消防団も含めた今後の地域の連携推進対策にどう取組まれるのかお示しください。
第3に産業振興対策です。コロナ問題により、産業構造も大きく変化することも見込まれ、さらに徹底した支援が求められることとなります。私は前職が地域金融機関の営業職であり、また日本企業の99.5%が中小零細企業であり、全従業者の約7割がここで働く人たちであることから、区議会議員となった初めての一般質問である平成15年第3回定例会において、この問題を取り上げました。以来、区内の全ての事業者、またこれから新たに事業を起こそうとしている人たちに対し、事務的な対応だけでなく、あらゆる専門家を駆使した、きめ細かな、かつ効果的な相談支援に取り組むよう要望を重ねてまいりました。そして、平成22年ようやく「としまビジネスサポートセンター」が誕生したのであります。これにより、創業・起業支援、情報発信・共有のための企業支援サイトの開設、女性起業家支援、インキュベート施設の創設等々、順次ではありますが、これまで提案してきたほぼ全ての事業に取り組んでいただきました。特に強く要望してきた創業・起業支援については大きな成果を上げており、高く評価するものです。しかし一方で残念なことは、「区内産業実態調査」によれば区の中小企業施策のうち、融資あっせん・資金相談を除く施策については「知らなかった」と答えた区内事業者が半数を超え、「利用したことはない」が80%以上を占めてしまいました。こうした問題も含め、これまでの取り組みの成果と課題について簡潔にお聞かせ願います。
そして、今回のコロナ問題でこれまでビジサポの存在も知らず、利用したこともなかった人たちも含め、多くの事業者に対応していただきました。対応状況とそこで感じた課題があればお聞かせ願います。
次に、経済活動の自粛の影響により疲弊した各種事業者への支援も含め、今後の根本的な産業振興策についてお尋ねいたします。平成27年第3回定例会において、「まち・ひと・しごと創生法」に基づく総合戦略についてお尋ねしました。ここでの訴えの結論は区内事業者の特性をよく知ったうえで、支援すべきということです。まさにコロナ問題により困窮した事業者への支援の第一歩と考えますが、いかかでしょうか。その時の質問で「区内産業や事業者と他地域とのつながりについて分析を行い、それに基づいて支援をしたことがあるか」とのお尋ねに対し「ないので国のリーサスの説明会の活用も視野に入れ、あらためて調査・研究したい」との答弁でありました。当然、事業者は区内の需要や資源だけでなく、他地域の産業や異業種の動向とも密接に関係しております。そうした情報を分析し、将来を的確に予測することにより、新たな販路拡大や商品開発、また効果的な経営手法の獲得に結び付いていくのです。質問では地域経済分析システム「リーサス」の活用や、具体的な事業活動の事例も紹介しながら、その対策についてお伺いいたしましたが、これまでの調査・研究の成果、そして今後の具体的な支援策についてお示しください。
次に既存事業者の具体的な経営改善支援についてお尋ねします。リーマンショックを超えるコロナショックによる経営への被害に対しては早急な対策が求められます。資金的な課題は国や都の支援も大きな要因となりますが、先に述べた販路拡大や商品開発、効果的な営業、経営手法の獲得については基礎的自治体こそ積極的に支援すべきと考えます。たとえば以前、個人の働き方推進のために取り上げたクラウドソーシングについては、個人だけでなく、企業でも活用可能です。広告宣伝等、特段の経費をかけずに新規顧客の獲得や販路拡大につながることから、利用の仕方次第で収益を向上させることができます。また、個人受注よりも大規模な業務を受託でき、発注者にも利点があることから、ときに発注にも活用可能であります。対面営業が控えられる中、現状、区内事業者でこれがどれほど活用されているのか、また今後の経営改善策の一つとしてさらなる活用促進に取組むべきと考えますが、お考えをお聞かせください。そして一方で現金取引を主とする商店についてはさらに即効的な支援が必要です。そうした観点から、資金力のある大型店舗は今回除外し、地元の小規模・個人事業型の店舗でのみ利用可能な区内共通商品券の発行を強く要望しますが、その目的は消費喚起などという曖昧なものでなく、区民や各商店街に思い入れのある来街者が「窮地にある商店を救済する」ぐらいの意識高揚を図り、具体的な消費行動に向かわせるものです。したがってこれまでにないプレミアムを付与した商品券を発行し、徹底した商店街支援に取り組むべきと考えますがいかかでしょうか。
激しいダメージを受けた区内事業者、商店への具体的な経営改善支援策についてお示しください。
次に経営改善を本格的に進めるための体制づくりについてですが、以前取り上げた「板橋区立企業活性化センター」は平成14年に設立以来、約190人の専門家を揃え、土日祝日も対応し、倒産寸前の企業でさえ立て直すという気概で取り組んできた実績があります。センター長自身が経営者として倒産を経験し、そのときの実体験を元に経営者が見逃している点を中心にアドバイスすることにより、多くの企業を立て直してきました。また、自ら区内のすべての金融機関の支店を回り、支店長や融資担当者との連携を確保し、企業の資金調達にも効果的に支援できる体制も作り上げております。このセンターを時の中小企業庁の長官が視察に訪れ、平成26年、国により全国47都道府県にこのセンターと同じ機能を持つ「よろず支援拠点」が誕生したのであります。板橋区はこれ以外にも「産業振興公社」も有し、多角的な支援を行っておりますが、本区も大きな痛手を受けた区内事業者に対し、座して待つのではなく、自ら事業者の懐に入り込んでいく専門家集団を構築し、具体的な支援に取り組むとともに産業振興の強固な礎を築き上げていただくことを望みます。今後の展望・方針についてお聞かせください。
第4に雇用対策と働き方支援について一般質問では5回目となるお尋ねです。平成18年第2回定例会以来、生活困窮者や新卒者、高齢者、また新たな就労をめざす人など、あらゆる対象者に応じたきめ細かな就労支援に取り組むよう訴え続けてまいりました。当初、担当課長からは個別に「こうした就労支援は区の仕事ではない」と言われたのを明確に記憶しております。しかしながら、ハローワークではできない対象者の特性に応じた就労支援については区の仕事と考え、質問を続けてまいりました。そうした中、平成27年4月、生活困窮者自立支援法が施行、これにより「くらし・しごと相談支援センター」が設立され、私が強く求めてきた「生活に困難を抱えながら、通常の方法では職を手にすることが難しい」人たちに対する支援が開始されたのであります。これは区が私の要望に応えたものではなく、国の施策により行っているものです。しかしながら、本来の就労支援は相談者本人でも気づいていない特性や能力、可能性まで見極め、導いていくものであると確信しております。一方で採用側はどうしても即戦力に重点を置いて採用しがちではありますが、長年ひきこもっていた人が事業を立ち上げ大成功する事例もあれば、即戦力としては期待せずに採用したのに、予想外の成果を上げる人もおります。こうした視点を人材育成にあたる採用側の事業者に気づかせる取組みも重要ではないでしょうか。いずれにせよコロナの影響により企業倒産や採用抑制も増える中で失業者が急増しておりますが、この問題に対してどのように対応していくのかお示しください。
昨年行われた総務省の労働力調査によれば、国内の非労働力人口は4,173万人、その内、就業を希望はしているが、求職活動をしていない人は330万人に上り、その理由として「適当な仕事がありそうにない」と考える人が96万人と最も多いのであります。この中には、今は生活可能であっても、やがて困窮してしまう方もいると考えられます。したがってハローワークやネットにあふれる転職ナビだけではたどり着けない人に対し、実態確認も含め、呼びかけ型の就労支援に取組み、時に、自ら就労できる人に対してもさらに適切なアドバイスや気づきを与えられるような総合的な就労支援機関を創設すべきと考えますが、お考えをお聞かせください。
次に働き方支援として平成27年第1回と第3回定例会においてテレワークの導入を提言いたしました。今回のコロナ禍で多くの官公庁や企業において、図らずも実施することとなったわけですが、当然ながら職務の中にはわざわざ職場に出向かなくともこなせる業務もあることから、当時から叫ばれていた働き方改革のひとつとして実践すべく提言させていただきました。答弁としては「管理職限定で」試してみるとのことでしたが、現在に至るまでの本区のテレワークの導入状況と課題についてお示しください。
また、同時にテレワーク等の在宅ワークを区内事業者に推進する取組みも要望いたしましたが、答弁は「周知は行うものの、区が単独で実施すること」や「具体的な区の施策については検討が必要」とのことでありました。パーソナル総合研究所の調査によれば、今回のコロナ禍におけるテレワークの実施率は従業員数1万人以上の企業では43.0%なのに対し、100人未満の企業では16.6%とのことでした。実施できない理由としては、「テレワーク制度が整備されていない」が38.9%、「テレワークのためのICT環境が整備されていない」が19.9%となっております。また、長年の慣例で在宅勤務という概念が薄い企業もある中で、今回のような緊急事態下はもちろん、新たな働き方として、在宅ワークは今後も求められる働き方ではないでしょうか。そうした中で区として経営者の意識啓発や環境整備の支援にあたるべきと考えますが、ご認識をお聞かせください。
次に在宅ワークのひとつであるクラウドソーシングも低コストで能力や経験に応じて働くことができることから、区民への周知と活用の推進に取組むよう要望しました。答弁は「厚労省や東京都も積極的に推進しているので、区としてもホームページ掲載やリーフレット配布など区民への周知を図る」とのことでした。これまでの取り組み成果についてお聞かせください。クラウドソーシングは、ネットの仲介サイトを通して不特定多数に発注することから、様々な課題があります。それでもその市場規模は2016年950億円だったのが2020年には2,950億円の見込みとなり、急拡大しております。そこでさらに多くの人に安全な利用を促進するために、単に周知するだけではなく、必要な技能、知識の習得やトラブル防止のための基本的な支援に取り組むべきと考えます。また、中には長年の経験で得た知識や技能をネットではうまく発揮できない、いわばICT活用に課題のある人もおります。こうした区民への支援を先に述べた総合的な就労支援機関等で支援することが、新たな職を求める人への指針にもなると考えますが、今後の取組み方針をお聞かせください。
第5に不登校対策や就労支援とも関連するひきこもり対策についてお尋ねします。平成30年第1回定例会において、最も支援の手が届きにくい中年期以降のひきこもり、すなわち8050問題について豊島区議会で、はじめて取り上げました。なぜなら、ひきこもりの増加は本人や家族の困窮だけでなく、地域経済やまちづくりの担い手不足を加速させ、税収減少、社会保障関連経費の増大につながり、結果的にさらなる出生率の低下と少子高齢化に至ってしまうのであります。本区としてもこのことをよくよく認識すべきと考えます。
そこで今回は、支援体制についてお尋ねします。私の質問の後、平成30年7月、子ども若者総合相談事業「アシスとしま」を開設、子どもからおおむね39歳までの若者を対象にした相談支援を開始しました。事業開始前の答弁ですでに「本区では、他自治体と比べて、自立支援の実績がかなり上がっているものと考えて」いるとのことでした。大変素晴らしいことですが、では40歳以上の人はどうするのかという質問には、相談が寄せられれば、強力な連携のもと支援を図るとの趣旨の答弁でした。やはり40歳以上の支援機関が区民に対して明確になっていないと考えますがいかかでしょうか。東京都の「ひきこもりサポートネット」は昨年、それまで34歳までとしていた支援年齢の上限を撤廃、15歳以上全てとし、年齢を問わない支援のあり方の協議を開始しました。一方でひきこもりは不登校や未就業が深くかかわっていることも多いことから、学齢期、高校大学期、新卒就労世代、働き盛りの世代、高齢者世代とそれぞれの年齢特性に応じた対策、支援が必要であり、効果的と考えます。たとえば、25歳から59歳までの未婚の女性に焦点を当てた場合、平成27年度国税調査では、就労適齢期でありながら、約17%の105万4千人が未就労であります。けして、全てひきこもりというわけではなく、中には支援を求めている人も多いと推察できますが、同じ未婚・未就労の女性でも、25歳と59歳では異なった支援が求められます。こうした多様な実態がある中で、生活困窮者自立支援事業と連携していることも十分承知しておりますが、子どもから39歳までという区割りがひきこもり支援として適切なのか、これを見直す必要性はないのか、お考えをお聞かせください。
ひきこもりといっても、本人や家族も困ることなく、最終的に困窮にも至らず通常の生活が継続できるのなら、それはライフスタイルのひとつです。前回質問で実態調査を行うべきとしたのは、ひきこもりの人数の調査ではなく、そのまま放置すれば本人や家族はもちろん、周辺社会にも損害を及ぼす恐れのある状態を掌握すべきということです。過去、ひきこもりが原因で悲惨な事件や社会問題に至った事案では、自治体や関係機関が掌握をしていなかったり、掌握しても的確な手が打てなかった事例もあります。厚生労働省の調査では、ひきこもり者の半数以上が相談する意思がないという結果が出ております。相談が寄せられるのを待っていても、解決しないのであります。長年の苦悩による厚く硬い孤独の壁を打ち破ろうと、決死の覚悟で挑んだ他自治体の支援者の取組みは前回の質問で紹介いたしました。本区の支援体制が全ての年齢層のひきこもりの実態を掌握し、的確な支援に取組むのに十分であるのか、お答えください。また国もこの問題に対し、多様な相談に寄り添い続け、断らない相談支援体制を構築することを目的に改正社会福祉法を来年4月から施行することとなりましたが、この活用も含め今後の方針をお示しください。
第6に認可外保育政策についてお尋ねです。少子化対策を推進し、子育てを行う家族の経済的負担の軽減を図り、すべての幼児に質の高い教育と保育を一体的に提供するため子ども・子育て支援法が改正され、昨年10月より認可外保育施設も含めた幼児教育・保育の無償化が開始されました。まず保育の安全性についてお聞きします。本区における認可保育所の開設基準は応募の時点で現に他自治体で認可保育所を運営していることが条件であることから、安全性に重点が置かれ、保護者の安心にもつながり、高く評価できます。一方でこの条件により豊島区内だけで、情熱をもって保育施設を開業しても永遠に認可はおりず、どんなに質の高い保育・教育の実績があっても区からの援助はありません。今本区内にある私立認可保育所は、すべて他自治体発であり豊島区発は一園もないのです。平成30年度に全国で起きた保育園での死亡事故9件のうち、6件が認可外保育施設とのことですが、今ある本区の認可外保育施設での大きな事故で掌握しているものがあればお聞かせください。開業以来長い年月、一度も事故を起こさず運営している認可外保育所も存在します。安全性の評価として「実績」も重要ですが、同時に「現に運営している実態」こそ評価すべきと考えますが、いかかでしょうか。またもう一方で、今後については区に監督責任があることから、基準を満たさないまま運営を続ける施設に対しては指導監督の強化も必要です。基準を満し無償化の対象として支援を受け、給与面等の条件が改善されることで優秀な人材確保にもつながります。したがって基準順守に向けてのインセンティブとして、それを満たす園を「準認可保育所」と位置づけ、認可保育所と同程度の運営費補助を交付するなどの制度を設けることはいかかでしょうか。また、練馬区は改修や移転などに必要な費用を補助し、認可外保育所を都の認証保育所に移行する支援を行うとしております。本区の無償化の対象のあり方と今後の対応策についてお示しください。
次に保育内容の質の向上に向けた支援策についてお尋ねします。開業以来、長年にわたり事故もなく、語学教育やリトミックなど公立保育所にはない独自の運営に取り組んできた園もあります。それに魅力を感じた保護者がわが子を入園させたいと思っても無償化前においては、負担の面からそれがかなわないという声もありました。これはある面、区内の保育資源が有効に活用されてこなかったということであり、同時に待機児童の問題にもつながっていたことを認識されたことはあったでしょうか。最近では幼児期における非認知能力の習得がその後の社会生活に有用であることが指摘されております。したがって無償化により様々な保育・教育の選択が可能となることが重要と考えます。区立保育園の元園長さんなどで構成される保育指導グループによる巡回アドバイスも、今後は認可外保育所の方針も理解した上で、新たな視点を持って指導にあたってくださるよう要望しますが、いかかでしょうか。そして、今後の幼児の育成支援と認可外保育施設の質を向上させる方策についてご見解をお示しください。
第7にSDGsの推進について質問致します。私ども公明党区議団は、これまで生活者の目線で様々な課題を取り上げ、政策提案をして参りました。平成24年第2回定例会では、児童虐待防止法やDV防止法等が施行されたものの痛ましい事件が後を絶たない事を取り上げ、暴力を許さないとの区の姿勢を明らかにし、広く区民に問題の本質を理解していただくため「あらゆる暴力の根絶」を区として宣言するよう求めて参りました。その後、平成25年に「虐待と暴力のないまちづくり宣言」が制定され、この問題を多くの区民の皆様と考えるきっかけになりました。その後、貧困対策や教育の充実健康と福祉、ジェンダー平等、人や国の不平等、気候変動等、あらゆる世界的課題が出てきており、今正しい選択をする事で、将来世代の暮らしを持続可能な形に改善することを目指し、2015年9月、国連サミットにおいてSDGs(持続可能な開発目標)は全会一致で採択されました。貧困に終止符を打ち、地球を保護し、すべての人が平和と豊かさを享受できるようにすることを目指す普遍的な行動を呼びかけています。また、SDGsは「誰一人取り残さない」2030年を年限とする17の国際目標であり、その下に169の具体的なターゲットと232の指標が定められております。今、様々な国や全国の自治体等でSDGs推進の取り組みを更に加速させていくと共に、それを地域に浸透させていく事が期待されます。
先の第1回定例会で、我ども区議団から「SDGs未来都市」へ手を挙げるよう提案致しました。23区で唯一消滅可能性都市と指摘された豊島区こそが、誰ひとり取り残さない 持続可能なSDGsを推進する都市となる意義は大変大きいものがあると考えます。この度、2020年度SDGs未来都市等への応募を行ったとの事で、高野区長の英断を高く評価すると共に、担当された理事者の皆様に感謝を申し上げます。
今定例会初日には、SDGsの実現に向け「誰一人取り残さない」まちづくりを推進する決議が可決されました。
今後は、SDGsを区の基本計画にも落とし込む作業が行われる予定でありますが、SDGsの取り組みを、区民に理解して頂き、豊島区が一丸となって取り組む事が望まれます。そこで、豊島区としてSDGsの推進を掲げた都市宣言を行うべきと考えます。区長のご見解を伺います。
以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。