平成18年 決算委員会 生活産業費
商工融資の充実と創業・起業支援策について
2006年10月12日
島村高彦委員
それでは経済生活費、まず中小企業対策からお聞きをいたします。
商工業融資事業が245ページに載っておりまして、これは13種類、17年度、あったと思うんですけども、これ、17年度は13種類でよろしいんでしょうか。まだ変える前の段階の成果だったと思うんですが。
川地生活産業課長
17年度から制度改正にはなっておりますけど、以前の貸付けなんかが残っているということで決算上は出てくるということです。
島村高彦委員
これを17年度、変えたということで、利子補給、総体的に減ったわけですけど、この財政効果というのはどのようなものだったのでしょうか。
川地生活産業課長
利子補給といいますか、制度自体をシンプルにすると。それから利子補給は1件当たり、非常に少ない額では効果がないということで切ったわけですけれども、効果としましては、1年間で2,000万ほどの効果を上げたというふうに考えてございます。
島村高彦委員
区民の反応というか、声はどのようなものがあったか、いろいろと教えていただければと思います。
川地生活産業課長
直接、そんなにこちらの方に声が来ているということもないんですけれども、今、いろいろ、諸団体の方々から利子補給がなくなったのはちょっと使いづらくなったねという話も聞いておりますけれども、ただ、わかりやすくなって、重点的に新創業といいますか、創業のところと運転中期のところには利子補給を残しておりますので、一番いるところには残してくれたんだねという話も聞いております。
全体的な話としては、実際、件数なんかは落ちているんですけれども、それは経済情勢にもよるものだろうというふうに考えてございまして、今のところ、そんなに大きな苦情はないというふうに考えてございます。
島村高彦委員
それで、残った6種類の融資なんですけども、そのうち利子補給があるのは、保証協会が1つと、それから、国民生活金融公庫が1つということでございますが、この利子補給のない方の制度融資なんですけども、これは、ほかの東京都の融資制度や保証協会の制度融資と、特に異なる点等があれば、その辺をお聞きしたいんですけど。
川地生活産業課長
今現在、17年度から国金の新創業まで入れましても、7本の制度にしているということでございまして、利子も、新保証協会と私ども、詰めまして、かなり安目に設定していく、長プラを基本にやっていくということでやってございまして、固定と変動入れてあるんですが、固定に関してはかなり安目の金利を設定したというふうに考えてございます。
都の制度は、実は短プラを中心に考えてございまして、私どもよりも高いものもあれば、ちょっと安いものもあるということでございます。
島村高彦委員
東京都の方だとか、あるいは保証協会が独自に行っている制度融資を見ますと、短プラもあるし長プラもあるということで、大変、種類が多くあるんですけども、この、区の利子補給のない方の制度なんですけども、これが区民にどういうふうなメリットがあるかということを知りたいんですけども、その辺で、もし、東京都や保証協会と大きな違いがないということであるならば、それ自体の存在価値が非常に問われていくんじゃないかなというふうに思うんですけれども、その辺は、やはり、これは今後も残していった方が区民にとってメリットがあるというふうにお考えでしょうか。
川地生活産業課長
確かに区は紹介をするということなんですけれども、利率の決定において、非常に区と、その信金協議会の中で、かなり安目に設定ができるということもございます。それから、区が紹介することによって信用保証協会の保証に関しても、かなり信用力は出るだろうというふうに考えてございまして、これを残す意義というのは非常にあるだろうと。ましてや、今現在、そういう状況ではございませんけども、貸渋り、貸しはがしが起こったときにも安定的に資金を供給するという意味でも、この辺は残していきたいと私どもは考えてございます。
島村高彦委員
その貸渋りや貸しはがしの段階なんですけども、決定するのは当然ながら保証協会の方に裁量権はほぼ100%あるんじゃないかと思うんですけども、その辺、区の方のあっせんで、融資の裁定に関して何らかの力を及ぼすということはできるんでしょうか。
川地生活産業課長
今のところ、全く信用保証協会の選考によるということで、確かに、委員おっしゃるように、こちらが紹介しても落ちるものも少ないですけども、あります。
実は今、都の信用保証協会と新たな事業展開とか、いろんなものやろうということで、信用保証協会とかなりいろいろ詰めを行っている状況でございます。
もう1つ申しますと、信用補完制度が今年からちょっと変わった、来年からも変わる可能性があるというふうに聞いてございます。その辺もにらみながら、信用保証協会側といろいろ協議をしていきたいというふうに考えてございまして、必ずしも、その信用保証協会だけの独断にならないように、私どもはしていきたいと考えてございます。
島村高彦委員
本当に、融資の裁決に当たって、保証協会が当然保証を出すから、当然ながら、その裁量権が保証協会に大半にあるということは、もう当然わかるんですけれども、やはり区であっせんをするからには、そのあっせんの価値といいますか、意義を高めていけないものかなということはいつも考えてはいるんですけれども、そうした面で、例えば、1つの申し込みに関して、このお客様の特徴であるだとか、あるいは今後の事業の発展性であるだとか、そういったものを保証協会に対して、あるいは実際にお金を出す金融機関に対して、何らかアピールしていくようなことが、今後、検討されているか。あるいは、もともとそんなことは絶対無理だというふうにお考えなのか、その辺の、ちょっと、本音の部分に差しかかる難しい点なんですけども、そういうのを区として行っていくという予定はありますでしょうか。
川地生活産業課長
実は、保証を与えるには、目ききがどれだけできるかと。その前の段階の書類であっても、金融のことをかなり詳しく、あるいは事業のことを詳しく知らなければいけないということもございまして、多分、今の陣容では難しいだろうというふうに考えてございます。
ただ、今後、例えば信金のOB、金融機関のOBであるとか、その辺を非常勤なり何なりで雇いながら、その辺をやっていけないこともないかなと。今後、区の産業政策に力を入れていくとすれば、その辺も必要なのかなというふうに考えてございます。
島村高彦委員
その点はわかりました。
また、利子補給に話は戻っちゃうんですけども、従来は、課長おっしゃったように、確かに、すべてのものに利子補給をつけ、利用する方も、安いからというだけのもので利用していたと思うんですね。本当に必要な人が必要な分だけ利用できるという制度に直していくのが一番好ましいと私は思うんですけども、この区のあっせん融資、保証協会においては、中期資金の1,000万円だけ、それ1点しか、今、残っていないような気がするんですけれども、今後、必要な人に必要な分だけ、やはり利子補給をしていくと。事業の展開の中で、そういった部分も、多々あると思うんですね。たまたまこの時期、資金が厳しくなったと。やはり、そういうときに補助をしてもらえると大変に経営上助かると。そういった人の場合なんかも考えながら、今後、この利子補助制度を見直しの検討、私としては、時と状況に応じて、財政上の問題もありますけれども、検討していただきたいと考えるんですけども、その辺はいかがでしょうか。
川地生活産業課長
おっしゃるとおりでございます。私どもの予算の関係もございますけれども、弾力的な対応ができない限り、なかなか、その資金は回っていかないだろうと。必要なところに必要なお金が行くということが非常に重要だというふうに考えてございますから、その辺はいろいろな情勢を分析しながら、できるだけ融資を受ける方の要望に沿えるような形を考えていくということを至上命題ということで考えてございます。
島村高彦委員
わかりました。
それでは、次に、平成17年度の予算案重点施策、これは17年2月に、この17年度の予算を決定する上で重点事業と定めたもので、その中に中小企業の経営操業支援として、幾つか項目が並んでいるんですね。そのうち、ちょっと3点について簡単にお聞きしたいんですけれども、中小企業の事業計画策定支援ということで、まず、決算書でいいますと、247ページに載っているんですけれども、これは0%になっているんですね。これは、もともと中小零細事業者が、診断士、会計士、税理士の相談・指導により、経営事業計画を作成し、円滑に融資を受けられるよう支援をしますということで、当初は368万円の予算をつけまして、重点施策として取り組む予定になっておったんですけれども、この辺がどういう形でこういうふうになったのか、お話しいただければと思います。
川地生活産業課長
誠に、17年度、執行できなくて、じくじたる思いをしているんですけども、実は、事業計画策定支援ということで、中小企業診断士あるいは税理士であるとか、その辺、関わる方々に集まっていただきまして、いろいろつくってまいりました。それで、どこまで、基本的には事業者が自分で、その事業計画、自分の会社を分析し、今後どうやっていくのか、その辺の戦略を立ててもらう。それのお手伝いをすると。3,000円で何回か、実際、診断士さんなんかが現場に行きながらやるんだということで始めたんですけども、始まるのが3月ぐらいになってしまいまして、17年度は執行できなかった。ただ、18年になって、今のところ数件ですけども、また、その事業計画の策定支援の経費が出てきているということでございます。
したがいまして、時期的にちょっと間に合わなかったのは非常に申し訳ないと思っております。
島村高彦委員
まず、中小零細企業の事業者っていうのは、なかなか、事業計画といっても、最初のとっかかり自体が非常に難しい経営者の方が多いんじゃないかと思うんですね。自分でつくってからそれを専門家の人に相談をするというのが理想でしょうけれども、実態上においては、余りそういったことは、もともと、はっきり言って苦手な人たちが結構、零細事業者の方には多いと思うんですね。そういった最初の段階から、やはり指導していかないと、この事業の策定自体の効果が薄くなってしまうんじゃないかというふうに思うんですけれども、まず自分でやるというのは常識的にはそうなんですけれども、実情から考えて、この事業をやるからには、そういった状態もやはり把握してからとりかかるべきだと思うんですけど、どんなものでしょうか。
川地生活産業課長
委員おっしゃるとおりです。まさに零細の方々、こういう言い方はちょっと失礼ですけども、なかなか、その書類をつくるのが難しいというのもございます。
したがいまして、最初に中小企業診断士の方と面談を行いまして、まず自分の会社の分析をしてもらうと。それを今度は書面に落としてもらうというお手伝いも含めて、3回から4回、少なければ2回か3回でできると思うんですけど、特に若い後継者の方々にその辺をやっていただければということでつくった制度でございます。
島村高彦委員
わかりました。
それでは、その次に載っております、中小企業の経営支援ということで、これも中小企業経営支援事業として17年度、取り組んでおります。これも執行率が27.8%ということでございます。これは、内容的には中小企業の経営改善というものを目的として講習会を開催するというのが1点。それから、商工会議所や産業協会と協働として、経営者OBによる経営相談等を行うというのが当初の策定案でございました。成果報告を見ますと、講習会の方は行っているようなんですけども、この2番目の経営者OBによる経営相談というのはなされたのかどうか、ちょっと確認をしたいんですが。
川地生活産業課長
結果としてなされておりません。そこは、制度をどうしてもやりたいということで重点施策の中にも入れてきたんですけれども、人選の問題であるとか、じゃあ何をしてもらうのかというのが、ちょっとございまして、なかなかそれができなかったということでございます。委員ご指摘のように、講演会に関しましては、上場相談であるとか、あるいは年金の相談、労務相談、この辺をやってございます。この辺は、できればまた充実していきたいと思っております。
島村高彦委員
そうですね。上場の相談だとか、金融相談とか、あらかじめ、この目的がはっきりしている人は特に問題はないと思うんですけども、やはり自分の経営の中で、一体、何がどうなっていてこういう結果が出ているのか把握できない経営者の方も、実際上は結構いらっしゃると思うんですね。そういった中で、実際に経営を長年やってきたという、そういう経験者の声というのは非常に効果が、私はあると思うんですね。いろいろ難しいことを言われても困るわけでございまして、現実、どこでどういうふうに苦労したか、そういった部分を、やはり経営のOBの方から話を聞けるというのは非常に中小零細企業者にとってはメリットがあるというふうに思うんですけども、今後、この経営者のOBによる経営相談については、ぜひ、機会をより多く設けていただきたいと思うんですけれども、今後はいかがでしょうか。
川地生活産業課長
委員おっしゃるとおりに、スコア制度といいますか、経験から物を言う、それで、みんなにわかってもらうとか、悩んでいる人にいろんなことをサジェスチョンするというようなことは非常に重要だと今でも思っています。
実は、今現在もまだ構築はされていないんですけれども、いろいろ、今のご意見も参考にしながら、いろいろまた検討していきたいと考えてございます。
島村高彦委員
そうしましたら、次に創業・起業の推進ということで、17年度、これは主に予定の段階では、商工会議所なんかと共同で、起業志望者を対象に研修会と。それから2番目として、専用のホームページを立ち上げ、関連情報の提供を行うと。3番目に、NPOの設立を予定する中小企業診断士会に対して、その設立に要する経費の一部を補助すると。この3つの事業をもって行われる予定でありました。この成果について、お聞かせください。
川地生活産業課長
最初の講演会の話でございますけれども、これに関しましては非常に手前みそになりますけど、好評を受けております。立教大学で大学院レベルの講座をやり、私どものプラザの方で中小企業診断士の方が連続してやり、それから巣鴨信金さんと協力して、立教大学でまた講演をやるということで、3回の講演を持ちまして、かなり好評、アンケートの結果を見ましても非常によかったという結果が出てございます。
それから、産業情報の構築でございますけど、今のところ、まだ、これがなかなか思うように行っていないというのが実情でございます。 それから、NPOの立上げの支援ということで、これ、実は去年、中小企業診断士の豊島支部を中心にしたNPOが立ち上がっております。それに補助を出していったと。NPOをうまく活用しながら、経営診断、あるいは私どもの経営相談でできないような、もっと突っ込んだものをやってもらう、あるいは講演をやってもらうという形なんですけども、今年は実は、中小企業診断士の講演会というのはNPOを使ってやったということでございます。そういう意味で、今後、NPOと協働していければということで考えてございます。
島村高彦委員
わかりました。
これは予算案の重点施策ということでお聞きしたんですけども、やはり策定した計画は、できるだけ実行するような形にしていただきたいと思います。特に、この最近の状況はちょっとわからないんですけども、豊島区は事業の廃業率が非常に高いということで、やはり区内産業の発展のためには、創業、起業には特段の力を入れて取り組んでいただけたらと思います。 それと、もう1点。この決算書を見ますと、商店街の振興施策であるだとか、ただいまやりました中小企業の支援策も非常に数がたくさんあるんですけれども、1つ1つがどうなんだろうというのを、こう見ても、何か類似しているようなものもたくさんありそうな感じなんですけども、これをもうちょっと、それぞれが意味があるということでやっているのはわかるんですけれども、もうちょっとわかりやすく、こういった施策を体系的に、区民の人から見てわかりやすい形で提示できないかなというふうなことは考えたんですけども、これは全体的な話なんですけども、その辺は産業課として何か考えている点があれば一言お話し願いたい。
川地生活産業課長
実は、お使いになる方々が、いろいろと似たようなネーミングが多くてわかりづらいという、特に商店街振興あたりのところでそういう話も出てきてございます。したがいまして、19年度以降、その辺の統一を図ってみたり、メニュー化方式といいますか、できればわかりやすい制度にして、読めば大体、これだったらこれというふうなことにできればと思っています。それは中小企業政策もしかりだというふうに思っていまして、今後、いろいろ、その辺も含めて検討させていただければと思っております。
島村高彦委員
中小企業対策だけではなくて、どんな項目もそうなんですけども、区民の人は知りたいと、これをこうしたいという要望に対して、すぐそこの部署に行けるような体制を全体で組んでいただけたらなというふうに常々考えております。 私の方は以上でございます。