平成21年 決算、清掃環境・都市整備・土木費
2009年10月 13日
コミバスなど実体にそくした高齢者・障がい者の移動手段確保に努めよ
島村高彦委員
成果報告書の155ページ、コミュニティバス導入計画の策定についてお伺いいたします。
内容を見ますと、平成20年度、運行ルートの絞り込み等導入計画を策定とございます。副都心委員会等でこれまでに説明を受けたコンセプトということで2点がございました。1つ目が高齢社会への対応、2つ目が地域の活性化と。2つのコンセプトを基にして4つの基本方針が定められております。それを基にして導入の優先度が高い地域ということで西部地域と中央地域ということで案として選定をされております。2つのコンセプトのうち、1番目の高齢社会への対応について、今回お伺いをいたします。
コンセプトの高齢社会への対応の内容としては、移動手段が限られる高齢者や乳幼児連れの世帯が安心して外出できる環境を整えることにより、さらなる外出機会を創出するという、こういうものでございます。それで、前に豊島区はかつて外出支援サービス特区の申請というのを内閣府に行っております。これの内容を見ますと、まさにコミュニティバス導入のコンセプトである高齢社会への対応そのものということになるんですけれども、セダン型等の一般車両を用いて福祉有償運送を開始する場合は、構造改革特区の認定を受けなくてはならないというものでございました。現在では法制度が変わって特区申請は要らないんだよということをお聞きはしておりますけれども、このときに豊島区で作成いたしました計画書、ここに移動困難者の状況というのがかなり正確に記載をされているんです。
簡単に読ませていただきます。要支援、要介護認定者のうち要介護3から5の認定を受けている3,085人の大部分は外出時に福祉車両による移送が必要な移動困難者であると推定される。また、要支援、要介護2の認定を受けている5,073人の大部分は福祉車両は必要ないものの、バスや電車などの公共交通機関を利用して外出することが難しい移動困難者であると推定される。このうち出てきた人数は、これは平成17年の状況でございまして、現在はもっと当然増えているということになります。さらに、要支援状態でない高齢者にとっても乗りかえや駅の階段の昇降など不便を来しており、介護保険のサービスは必要ないが通院のためのタクシー券が欲しいという声が多く聞かれると。住みなれた地域で在宅生活を継続するために、要支援、要介護1の高齢者及び介護保険未申請の高齢者に対する外出支援の必要性は高いと思われると、これまでこういったあれがなされているわけですね。私どもの党も毎回予算要望において移動困難者に対する移動支援サービスの拡充というのをずっと要望を継続してまいりました。現状、障害者に対する移動支援というのは十分ではないにしろ、いろいろと行われていると思っております。それから、福祉タクシー券の対象とならない、今、読み上げました計画書にあったような高齢者に対する移動外出支援、これが非常に難しくなかなか進展をしていないというのが現状ではないかと考えております。しかし、計画書にもあるように、外出移動支援の効果として、同じく計画書にも載っておるんですけれども、これは正確な文章なんで、これも読ませていただきますけれども、より柔軟な外出支援サービスは高齢者や障害者が地域で能力を発揮し、余暇活動や事業に参加しやすくなり、健康で生きがいを持った暮らしは高齢者と障害者の介護予防につながっていくものがある。間を飛ばしまして、長く地域で自立した生活を過ごすことができるようになり、やがてはそれを支える人々の負担も軽減される効果が期待できると外出支援の効果について記載がございます。非常に高齢社会にとって外出支援というのは大きな効果をもたらすと私も確信をしているんですけれども、そんな中で今回、様々な検討を経て西部地域と中央地域と決定をしたわけでございます。特に西部地域が選ばれた理由として、最も高齢者が多いということなんですけれども、記載がございますように乳幼児連れの世帯も含まれているということで、やっと質問に入るんですけれども、まとめて3点をお聞きいたします。
高齢者が多いということでございますけれども、1点目に、同じ居住面積内、要するに公園だとか霊園、学校とかそういう人が住んでいないところは除いた中で高齢者乳幼児世帯の数の比較をこれは行ったのかと。
2点目が、移動外出という観点から、高齢者や乳幼児の保護者、この方々の身体的状況について比較を行ったんでしょうかということです。福祉タクシー券の対象者は福祉タクシー券があるわけでございます。そうした数の比較です。それから、車いす利用者には、これも十分ではありませんけれども、ハンディキャブを利用することができます。同じ介護度でも歩行や移動の能力、そういった観点から比較をしていったのかと。
3点目に、高齢者や乳幼児世帯の生活対応に着目をして比較をなされたのかということです。高齢者においても通院の頻度、それから外出の要望、どうしても毎日病院に行かなくてはいけないという高齢者、月に1回でいいという高齢者、様々おるかと思うんですけれども、そういった観点からこの西部地域に視点を当てたということなんでしょうか。これについてお聞かせを願います。
原島交通対策課長
まず、コミバスにつきましては、西部地域と副都心の地域ということで、7月の公共交通会議にお示しをして、多くの方々からご意見をいただいたところでございます。まず、西部地域についての方向性ということでございますけれども、高齢者が比較的多いということで、これについては面積と人口の比率での密度ということでここの地域が一番多かったということでございます。
それからまた、2点目の人数によります利用形態ということになると思いますけれども、その辺につきましても障害をお持ちの方ですとか、元気な方という種別によるアンケートを行ったわけではございませんで、一般的な形でのアンケートでの方向性ということで、3点目の質問にもなると思いますけれども、生活習慣に合わせて色分けをした形でのアンケートをとったわけではございません。一般論として、この地域の方々がどういった行動範囲、どういったことを望んでいるかということの中でこういった路線が出てきたというところでございます。
島村高彦委員
移動に関してです。高齢者の視点からやはり実態を掌握しないと正確な実態調査にはならないんではないかということなんですけれども、1点目のお答えがなかったんですけれども、非居住面積、これを除いた面積で高齢者の数を出したんでしょうか。
原島交通対策課長
全体的な面積でございますので、一定のものを除いてはおりません。
島村高彦委員
わかりました。当然ながら居住面積の中で計算しなければ正確な人数は出てこないんではないかと思います。
次に、やはり理由として公共交通不便地域が最も広いということで、これについては2点お伺いします。
1点目、公共交通機関について、移動困難な高齢者だとか乳幼児の保護者の視点から利便性を比較したかということなんですね。鉄道駅において、電車に乗り込むまでの階段の長さだとか、あるいは昇降のしやすさ、上りおりのしやすさ、それから、エスカレーター、エレベーターの設置状況だとかその配置の場所、さらに、バス停の設置状況だとか乗降の際の利便性と、こういうところを比較をちゃんとしたのかということです。バス停もいろいろございまして、そこに段差があってなかなか乗れないと、あるいは乗ろうと思ったら放置自転車がいっぱいでうまく乗れないと。そういう地域というのは結構あります。
2点目に公共交通機関を利用するに至るまでの、そこに行くまでの移動の環境の比較ですね。駅やバスに向かうまでに、近くてもそこに坂道があるとないのと大きく違います。さらに、その道路の幅員によっても歩行がしやすいしにくい、車が大変たくさん通ってなかなか通りづらい、自転車とすれ違う際に怖いと、そういった点からも比較をなされたのかということを公共交通不便地域という選定においてお聞きしたいと思います。
原島交通対策課長
交通不便地域というのは定義がいろいろとあるかと思いますけれども、福祉局の補助金の採択基準の中に、概ね200メートルを超えた部分を交通不便地域ということで試算をして、それがどれだけ解消されるかという試算がありますので、今回の検討につきましては、現状の既存の駅の出入口、それからバス停から200メートル範囲以外の場所を交通不便地域と定めまして、それが新たなコミバス等の公共施設が入ったときにどれだけ解消されるかということで決めてきたものでございます。よって、委員からお話がありました坂道ですとか、あとは階段をおりてから改札まで長いですとか、そういったことについては基本的には考慮はしてないということで、あくまでも出入口からの距離のみで交通不便地域というのは定めたという経緯でございます。
島村高彦委員
そうしますと、高齢者の数も単なる数と、さらに公共交通不便地域というのもこれは単なる距離と、そういう観点でしか図っていないということなんですけれども、実際に多くの高齢者が豊島区全域におりまして、いろいろと生活をしとるわけです。その中で単に距離と人数だけということだけで走行の地域を決めるということに関して、果たして区民の理解が得られるのかという問題があるんです。私はこれは非常に難しいと。実際に高齢者の数が多いといっても、ちゃんとした居住面積内でその数をはかっていかなければ、やはり数にしても出ないと。また、高齢者の状態も、移動する高齢者の視点という観点からはかっていかなければ、この実態はとてもじゃないけれどもつかめていけないんじゃないかと思うんですけれども、まず、この辺はいかがでしょうか。
原島交通対策課長
その辺につきましては、今までの検討結果ということで、それはそれとしてその辺を踏襲するということにもなろうと思いますけれども、先般の7月の公共交通会議におきましても路線の素案というのを提出させていただきましたけれども、それについてはなかなか幹線道路が多くて、既存のバスとも重複するという中で、もうちょっと違う形での検討が必要じゃないかというご意見もいただいたところでございまして、今、委員のご指摘の内容も含めまして、ある程度再度違う形での検討ということも考えていかなくてはいけないと考えております。
島村高彦委員
今、いろいろとお話しさせていただきましたけれども、仮にこうした条件をすべてクリアしてあったとしても、した上で西部地域が選定をされたということになったとしても、区内全域には、歩行困難なんだけれども移動の要望の高い高齢者というのは、すべてにおいて存在しているわけでございまして、そうすると、この人たちの移動支援はどうするのかという問題が残っていくわけでございます。また、今、高齢者のお話を中心にお話をいたしましたけれども、乳幼児世帯も同様のことが言えます。乳幼児の状態によってやはり病院に毎日連れていかなくてはいけないという保護者の方もいらっしゃいますし、あるいはもう本当働きながら時間のない中で、短い時間で乳幼児を移動させていかなければいけない、そういった保護者の方もたくさんいらっしゃるわけです。当初、私どもはコミュニティバスということに関して、広く移動の困難な方に対して大きな支援になると考えておりましたので、コミュニティバスをということで推進を要望してきたわけでございます。示された計画では区内全域の多くの移動困難者の方々に対する支援としては非常に不十分と考えざるを得ないんです。また、公共交通会議ですか、ここに区民の代表等の意見ということで副都心かなこれは、資料をいただいたんですけれども、区民の代表の委員等の意見というのも住宅街を通さないと意味がないと、また既存路線と重複するとコミュニティバスとしてのメリットがあまり出ないと。さらに、狭い道路を通すために小型バスの開発も含めて考えるべきだと。今までご説明を伺ったところによりますと、どうしてもバスが通れる地域というのが限られてしまうというお話をさんざんお聞きをいたしました。そこに行くまでの移動困難な人ですから、できる限り移動の利便性ということを考えたときに、やはり今のバスという形態が果たして本当にふさわしいのかどうかというのがあるんですけれども、その点だけお考えをお聞きしたいんですけれども。
原島交通対策課長
7月の公共交通会議におかれましても、今、委員からご指摘がありましたようなご意見が多々出たわけでございます。そういった中で、やはりもうちょっと狭い道に入ってきめ細かな運行ということを検討していくということにもなってこようかと思います。そういった中で、当初マイクロバス程度の大きさのコミュニティバスでの路線選定ということになりますと、それなりの道路でないと通れないということにもなりますので、今後乗り合いタクシー、ワンボックスタイプになろうかと思いますけれども、そういった車体を小さくした形でどういったところが通れてどういった効果があるのかということを、今後検討していきたいと考えております。
島村高彦委員
それと、もう1点気になるのが、当初このコミュニティバスにおいても財政上の収支の問題ですね、運用した場合の、かなり経費オーバーになって赤字になるんだというお話を聞いておりました。大切な移動支援ですから、多少の財政負担はいたし方ないというのが私どもの意見でもございますけれども、これに今、課長がお話しくださったようなワンボックス型の車ですね、こういった車にした場合に、運用の経費を比較した場合、どう変わってくるんでしょうか。
原島交通対策課長
現在、想定しております路線での経費ということになりますと概ね1日当たり18本を運行した場合に年間約5,000万円ほどかかると想定をしております。また、乗り合いタクシーにした場合には距離当たりの単価は多少安くなるものの、距離が長くなればやはりそれ以上の経費がかかってくるということが想定されるわけでございます。また、バスの金額等につきましては、現在の大きいコミバスですと2,000万円以上するものが、500万円から600万円程度ということでバスのイニシアルについては大きく下がるものと考えております。
島村高彦委員
財政上も多少は経費面でよくなるかなと考えるわけなんですけれども、先程言いましたように、豊島区の構造改革特区、これは土木とかそっちの関係ではなくて、恐らく福祉で申請をしたと思うんですけれども、この構造改革特区を目指した経緯というのは、多くの移動困難な方がいらっしゃるということが大前提になっているわけですね。こうした方々に対して、可能な限り早く移動支援というものに対して行っていかなければ、やはりどんどんいろんな形でマイナス面が増えてきてしまうというのが私どもの考えです。今、計画しているコミュニティバス、これが今回、お話によるともう1回検討するようなお話になりましたけれども、ぜひ検討して、やめちゃうんではなくて、高齢者あるいは乳幼児の世帯の方々に、本当に効果的な移動支援サービスを行っていただきたいと考えるんですけれども、今後のスケジュール的なものはどういうふうに変わっていくんでしょうか。当初、22年とかに聞いておりましたけれども、その点について最後お聞きをして終わりにします。
原島交通対策課長
今年度の初めといいますか、今まで、来年の6月を目標ということで運行を計画しておりましたけれども、今、お話をしましたとおり、当初の素案の路線ではなく、大きな乗り合いタクシーも含めた検討ということになりますので、それらの検討の時間というものが必要になってこようかと思います。それらの検討がどのくらいの時間がかかるかというのもこれからということになりますけれども、できれば、早ければ22年中には、23年に向けてというのが目標になってこようかなと思いますけれども、今後収支等も含めまして検討してまいります。